人生何が起こるかわからないので、なんやかんやあって一人見知らぬ土地で過ごさねばならぬことも一度くらいはあると思う。
かくいう私もなんやかんやあってインドネシアのソロという町で1週間ほど過ごさねばならない時期があった。
今回はソロで見た景色に加え、未知の場所に放り出されたときの生き方について考えてみるつもりだ。
そもそもインドネシアがどこにあるのかというと、日本からずーーーーっと南に行ったところ。羽田から首都ジャカルタまで飛行機(直行便)で約7時間である。赤道直下の熱帯性気候のため、気温は常に25℃から30℃とそれなりに暑い。5月から10月にかけては乾季、11月から4月は雨期となる。今回私は6月中旬に渡航したため、乾季であった。実際雨は1日も降らなかった。
インドネシアへの旅行となると、おそらくビジネスならジャカルタ、観光ならバリ島といったところだろう。しかし私が今回行った場所はどちらでもない。ソロという町だ。
地図ではスラカルタと書かれているが、ソロと呼ぶ人が多いらしい。ジャカルタからさらに飛行機で1時間半。現地に着くと、交通量の多さにまず驚く。排気ガスで空気は濁り、あちらこちらでクラクションが鳴り響く。思わず「インドネシア 交通事故件数」で検索しそうになる程だ。通りには屋台のような小さな飲食店がずらりと並ぶ。ほとんどのお店はドアや壁が取り払われており、かなりオープンな作りだ。屋台の前でござを敷き、のんびりしている人もいる。暑さが気になるところだが、おそらく皆この程度の暑さには慣れているのだろう。到着したホテルのロビーにもクーラーは設置されていなかった。
ホテルはソロの中心部から少し離れた大学の向かい側にあった。というのも今回のミッションはインドネシアの大学での勉強だったためである。1階にはレストラン、2階にはロビーとカフェ、3階と4階が客室となっている。思っていたより大きいホテルだ。部屋は広く、冷房もしっかり完備。冷蔵庫も使用可能。電気が一つ点かないこと以外はあまり不便はしなさそうだった。しかし、2日、3日と過ごしていくうちに気づく点が出てくる。その1、単なる汚れだと思っていた物が虫であることに気づく。その2、シャワーの出力がビビるくらい弱い。その3、ふろ場の蛇口から突如として泥水が噴き出す。その4、入口のドアの下部分に隙間があり、ヤモリが出入りしている。細かいことを書きだすときりがないのでこれ以上はやめておこう。いろいろ事件はあったがまあなんとかなった(なんとかした)ので良しとする。
フロントは24時間対応で常に人がいるようだった。皆優しい方ばかりで、英語もまともに喋れない私であるにも関わらず大変親切にしてくださった。英語が得意ではないフロントの方もいたが、グーグル翻訳を駆使して会話することができた。今回の旅において、グーグル翻訳は大変役立った。ぶっちゃけグーグル翻訳が無くても英単語と身振り手振りで何とかなることが多いが、例えばLINEやWhatsAppなどのテキストメッセージでのやりとりではグーグル翻訳は必須だった。またレストランのメニューを見る際にグーグル翻訳のカメラを使うことで一瞬で翻訳してくれるのもありがたかった。もし伝わらなかったら翻訳に頼ればいいや~と思えることはかなり精神的な余裕につながったし、英語!インドネシア語!わからん!無理!と大混乱せずに済んだのは大きかった。つまり、グーグル翻訳は神。ちなみに個人的な感覚として、挨拶とお礼と「Can I ~ ?」「Can you ~ ?」「I want to ~」が言えればある程度何とかなる感じがした。もしかしたら海外は怖くないのかもしれない。安直かしら。
SebelasMaret大学はとんでもなく広い。故に学生の移動手段はバイクだ。すさまじい量のバイクが目の前を通過していく。道路を横切るのが一苦労である。横断歩道ですら怖い。はじめはビビりすぎて横断歩道の手前で10分くらい立ち往生していた。
大学では研究に関する情報の収集などを行った。現地の先生や生徒の皆さんと話すのはとても新鮮で楽しいものだった。日本語を話せる人もいて、去り際に「また来週~!」と言われたのにはほっこりした。
インドネシアでなんとなく慣れなかったのが、挨拶の仕方だ。日本だと「あ、どうもこんにちは~」って感じでお辞儀をすると思うが、インドネシアでは「あ、どうもこんにちは~」って感じで握手を交わす。不快とかそういうのではないが、どうしてもお辞儀をしてしまうし、差し出された手を見てあっそうか握手かとどぎまぎしてしまう。そんな私を見て現地の方は「日本だとお辞儀だもんね、こっちでは握手するんだよ」と笑顔で教えてくれた。
文化の違いは避けては通れないところだが、正直そこまで意識しなくても良いのかなと思った。仮に間違ったとしても教えてくれるし、相手もこちらが外国人であることはわかっているので極度に神経質になる必要はないはず。宗教的な決まり事などは外務省のHPを見ると書いてあるので最低限それを読んで頭に入れておけば大丈夫な気がした。
1週間のうち1日だけソロの町を観光した。そこで見た物がこのカスナナン王宮である。その爽やかな水色は心なしか涼しさを感じさせてくれる。日本語でのガイドをしてくださるとのことなのでお願いをし、中を見て回った。ガイドさんは流ちょうな日本語でユーモアを交えながらのとても楽しい解説をしてくださった。展示品の展示方法や照明などには疑問があったが、正直気にならないくらいガイドさんのお話が楽しかったので個人的にはおすすめ。もう一回行きたいくらいだ。
ソロはバティックが有名らしい。ダナル・ハディ・バティック博物館には数多くのバティックが展示されており、ガイドさんの解説を聞きながら地域ごとの特色の違いや製法を知ることができる。ちなみにガイドは英語だが、英語が得意ではない私でもかなりわかりやすかった。写真は実際にバティックを作っているところ。写真を撮って良いとのことだったので撮らせていただいた。ひとつひとつ手作業で模様を描いていくという気の遠くなるような作業、真剣な面持ちで作業に徹する女性達、その張り詰めた空気に圧倒された。
なんやかんやで1週間のインドネシア生活を終え、無事帰ってこれた。振り返ってみれば日本にいたら絶対に経験できないようなことをたくさん経験できたし、なんやかんや言って楽しかったなと思える。たぶん何事もそんなもんだろうなと思う。知らない世界に飛び込むのはやっぱり怖いし、やったことないことは失敗しそうだからやりたくない。でもきっとジェットコースターみたいなもので、乗る前は怖いけど乗っちゃえば楽しいしあっという間だ。多少のスリルを楽しみつつ、いろんなことにチャレンジしていけたらいいんじゃないかな。以上。終わり。
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